老眼手術(多焦点眼内レンズ)

老眼のメカニズム

白内障とは、水晶体が混濁したり硬化したりすることによって視力が低下する疾患です。白内障手術では、その水晶体を取り除きます。したがって白内障手術で得られるメリットを知るには、水晶体の働きを理解する必要があります。そもそも水晶体とはどのようなはたらきをしているのでしょうか?
目は角膜を透過して瞳孔から入った光が水晶体を通過し、網膜に届くことでものを見ています。正常の水晶体は弾力性があり、周囲の筋肉の力で厚みを変えることができます。水晶体は厚みを変えることで通過する光の屈折の度合いを調整して、水晶体の後方にある網膜に焦点を合わせます。この水晶体の光の屈折の度合いを変える能力を調節力といいます。正常な眼球ではこの屈折が正確に行われることでによって、どの焦点のものにもぴったりと網膜に焦点を合わせることができます。
若い人の水晶体は、遠くから近くまで広い範囲の距離の変化に対応できるように、十分な調節力があります。しかしその調節力は、加齢に比例して衰えていきます。調節力の低下の原因は、水晶体の硬化や水晶体周辺の組織の機能の問題であると考えられています。若い頃に遠くも近くも見ることができるのは、水晶体に十分な弾力性があって、周囲の筋肉などの力によって厚くなったり薄くなったりと柔軟に変化させることができているためです。ところが加齢によって目の調節力が衰えた状態になると、焦点を合わせることができる距離の範囲が狭くなってしまいます。これが老眼のメカニズムです。
調節力の低下は子供のころからしだいに始まり、40才頃から症状がではじめますが、60才のころにはほとんどその機能はなくなってしまいます。
(山﨑健一朗・著「人生が変わる白内障手術」第2版、P206より抜粋・改定)

単焦点眼内レンズの限界

白内障手術では濁った水晶体を取り除き、かわりに人工の水晶体である眼内レンズを挿入します。
さきほど述べたとおり、正常の水晶体には、厚みを変えることで焦点を合わせる機能があります。しかし人工の水晶体である眼内レンズは、そのように厚みを変えることはできません。つまり白内障手術後には基本的に焦点を自在に変えることはできないのです。したがって単焦点眼内レンズを使用する通常の白内障手術では、あらかじめ決めた一定の距離でしか焦点が合いません。一般的には単焦点眼内レンズによる手術の場合には遠方に焦点を合わせるので、手元の活字をよむときなどは必ず老眼鏡が必要となります。老眼鏡をかけると今度は遠くが見にくいので、遠くをみるときにはいちいち老眼鏡をはずさなければいけません。単焦点眼内レンズでは、このような老眼の状態はまったく治らない、ということです。

若い人が単焦点眼内レンズによる手術をすると……

それでは単焦点眼内レンズの手術を受けた場合は、みなさんがたいへんな不便を感じるのでしょうか? 高齢者の手術場合、単焦点眼内レンズによる手術では調節力が手術前よりも落ちてしまうのか、というとそうではありません。なぜなら、白内障手術を受ける平均的な年齢は60−70才代ですが、その年齢では目の調節力はほとんどなくなっているからです。つまりこのような年齢で単焦点眼内レンズによる白内障手術をうけた場合には、手術前と老眼の状態はかわらないからです。
しかし、若年者が白内障手術をうける場合には、これはあてはまりません。若年者の場合には手術前には老眼の状態にはなっていないので、単焦点眼内レンズによる手術をうけると、「白内障手術をしたら老眼になってしまった」ということになります。それでは、そのようなことにならない白内障手術はあるのでしょうか?

多焦点眼内レンズの登場

現在では、前述のような単焦点眼内レンズによる不便さを改善した眼内レンズが開発されています。それが多焦点眼内レンズです。
単焦点眼内レンズでは決まった距離のものにしか焦点が合わないので、焦点が合っていない距離のものを見る際には、はっきりと見ることができません。そこで、ピントの合っていない距離のものを見るときには、メガネをかける必要があります。しかしメガネをかけると、こんどはメガネの焦点の距離以外のものは見えないので、元の距離のものを見ようとすると、メガネを外す必要があります。単焦点眼内レンズの焦点は遠方に合わせることが多いので、その場合には手元を見るときには老眼鏡をかけることとなります。しかし老眼鏡のままでは遠くが見にくいので、遠くをみるときにはいちいち老眼鏡をはずさなければいけません。
単焦点眼内レンズによる手術でも、濁った水晶体をきれいな眼内レンズに置き換えるので、視界はクリアになります。しかし、焦点の調節機能はまったくありません。つまり、「白内障手術をしても、やっぱりメガネのかけはずしからは解放されない」という状態になります。そして若年者の場合には、白内障手術をしたらかえって老眼のような見え方になってしまった、という状況になります。
それに対して、近年開発された「多焦点眼内レンズ」では、遠くと手元の広い範囲の距離にピントが合っています。したがって多焦点眼内レンズではメガネが必要となる場面がほとんどありません。多焦点眼内レンズでは、さまざまな場面で焦点の合いやすい視力となり、豊かな生活を営むことができます。
ここから、従来からある「単焦点眼内レンズ」と、最先端の白内障治療である「多焦点眼内レンズ」の違いについて詳しくご紹介します。

大宮七里眼科の老眼治療

老眼は多焦点眼内レンズを用いた白内障手術で改善します。
老眼を改善する唯一の治療法です。
これによって近視や遠視、乱視といった屈折異常も治療することが可能です。
大宮七里眼科は、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術をおこなっております。

当院で使用している多焦点眼内レンズ

今までは、遠方に加えて近方30~40cmが見えやすくなる2焦点レンズが主流でした。
しかし近年では、中間距離も見えやすい3焦点眼内レンズ・連続焦点型眼内レンズが国から承認うけました。
当院では「3焦点眼内レンズ:パンオプティクス」と「連続焦点型眼内レンズ:テクニス・シナジー」を使用しております。

監修医師 山﨑 健一朗

院長紹介

院長資格

  • 日本眼科学会認定 眼科専門医
  • 日本で初めてフェムトセカンドレーザー白内障手術を開始
  • 2017年 著書「人生が変わる白内障手術」出版
  • 多焦点眼内レンズ使用症例を4,958件以上
  • フェムトセカンドレーザー白内障手術4,752件以上
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